2025年8月の大雨で秋田県仙北市は桧木内川が氾濫し西木町を中心に大きな被害が出ました。この被害で営業休止を余儀なくされたのが地区のなか志ま旅館です。
あれから約3カ月…ボランティアなどの支援を受けて復旧を進め旅館と併設する食堂は10日再開の日を迎えました。
食堂には早速多くの人が訪れ温かい食事を味わいました。
仙北市西木町上桧木内で旅館と食堂を営むなか志ま旅館です。
この地区でただ一つの宿泊施設と飲食店がきのう再開の日を迎えました。
なか志ま旅館・中島勝子さん:
「うれしい。みんなが気軽に来れるような場所になってほしい。」
一方でここに至る道のりは決して平たんではありませんでした。
こう話すのは旅館を切り盛りする中島勝子さん。
旅館は8月の大雨で床上70センチまで浸水。
ボランティアの力を借りながら厨房の床をはがし床の下にたまった泥をかき出し…懸命な復旧作業を進め当初の予定より早い約3カ月ですべての再開を実現させました。
冬の足音が近づき始めた10月2日。中島さんが訪れたのは仙北市角館町です。
食堂再開を前に仙北市社会福祉協議会が開いたイベントで料理をふるまいます。
提供するのはかつ丼・焼き肉丼・いなり寿司中島さん自慢の3品です。
訪れた人:
「勝子さんの料理はおいしい。料理を目指してきた。オープンするの楽しみにしている。」
中には日本赤十字東北看護大学・介護福祉短大の及川真一さんも。
及川さんは被害を受けた直後からボランティアで上桧木内地区を訪れ中島さんとともに旅館の再開を目指してきました。
及川真一さんは「うまい。良かったね」と料理の感想を話し、中島さんは「みんなのおかげだな」と感謝の言葉を口にしました。及川さんは中島さんの努力も労いました。
用意した150食はあっという間に完売です。
なか志ま旅館・中島勝子さん:
「働くのが好きなので面白かったし楽しかった。」
一方、旅館は再開の準備が大詰め。
この日は再開を1週間後に控え食材の仕込みやのれんやのぼりの準備に追われていました。
なか志ま旅館・中島勝子さん:
「どういうふうになるのか楽しみ。やっていけるのかいけないか。どのくらいお客さんが来てくれるのか。」
ついに迎えた再開の日ですが、食堂のカレンダーに目を移すと雨が降り始めた8月19日のままです。
勝子さんの娘・中島星子さん:
「カレンダーをとりあえず捲らないことにした。なんとなくまだ捲れない。」
なか志ま旅館・中島勝子さん:
「準備万端。80パーセントできました。」
開店とともに再開を待ちわびた客が次々と訪れました。
メニューはラーメンやかつ丼など10種類。
訪れた人は温かい食事をゆっくりと味わいます。
訪れた人:「最高。思い出した。ここは憩いの場所。」「みそ漬けがすごいおいしくて、来るたび買っていた料理がおいしい。復活してもらって良かった」
なか志ま旅館・中島勝子さん:
「みんなに協力してもらってできるだけ長く続けていきたい。ほんとのほんとにみんなに感謝。みんなのおかげでここまで来た。私1人では何もできないのでみんなに助けられた」
日本赤十字東北看護大学・及川真一さん:
「ここからがスタートであり、まだまだ仙北市で起きた出来事を多くの方に知ってもらうことをしていかないとだめだと思う。仙北市のことをみなさんが注目して、町の再生・復興を見届けてほしい」
11月11日(火)18:00