防衛省に要望していたクマ対策の支援に向け自衛隊が活動を開始しました。秋田県と陸上自衛隊が5日に協定を結び、午後から鹿角市で箱わなの設置作業など支援活動にあたりました。

県内では4日までに1万件を超えるクマの目撃に関する情報が寄せられていて、例年にない異常な事態となっています。

また、クマに襲われて亡くなった人は4人に上り、56人がけがをしています。

県庁で行われた締結式では、鈴木知事と陸上自衛隊第9師団の松永 康則師団長が協定書に署名を交わしました。

協定で自衛隊が支援する内容としては、箱わなの運搬や設置・見回りに伴う猟友会の輸送、駆除されたクマの運搬などです。

なお情報収集については、クマが出没した際にその位置を正確に把握するため、ドローンの使用も視野に入れているということです。

また、これらの活動は秋田市に拠点を置く陸上自衛隊秋田駐屯地の第21普通科連隊の部隊が対応します。

鈴木知事：
「これから実際に活動が始まる、県民の皆さまに少しでも安心してもらって被害を局限できるように県としても各市町村と綿密に連携をしながら陸上自衛隊の活動をしっかりバックアップしていきたいと思っている」

協定に伴う自衛隊の活動期間は5日から30日までとなっていて、活動の進捗によっては期間の延長について協議することにしています。

県によりますと、県内25市町村のうちの半分近くが支援活動を求めていて、大館市や北秋田市それに八峰町では現在、派遣に向けた調整が進められています。

協定を受けて鹿角市では自衛隊による支援活動が始まりました。

鹿角市花輪の柴平地域活動センターでは、午後1時半ごろから自衛隊の受け入れ式が非公開で行われました。

隊員は15人派遣されていて、この施設を拠点にして活動にあたるということです。

式で笹本真司市長は、市民が危機感を感じながら生活している現状を伝えたといいます。

笹本 真司市長：
「これまでずっと訴えてきたことではあるが、具体的な行動として駆けつけてもらえてこれから支援が始まることが本当に大切なことだと思うし、感謝したいと思う。どこまで自衛隊でできるのか実際にやってみたところでまた新たに見つかるところもあると思うので、1つ1つ克服しながら一緒になって目的を果たせればと思っている」

仙台放送 亀井 拓カメラマン：
「秋田県鹿角市の上空です。自衛隊の長い車列が見えます。活動場所まで移動しているとみられます」

式の後、隊員たちは鹿角市十和田大湯地内で猟友会から指導を受けながら箱わな1基を車に乗せ、10キロほど離れた別の場所までの移動や設置作業を支援しました。

箱わな1基あたりの重さは約200キロで、隊員4人で運搬にあたったということです。

また、隊員たちは安全を確保するため、金属製の板を入れた防弾チョッキなどを身に着けているほか、盾やクマスプレーを携帯して活動にあたっています。

鹿角市農地林務課 北方 康博課長：
「（猟友会は）日中に仕事を持っている方がほとんど。自衛隊に来てもらうことで主に平日のわなの設置が機動的に進むのではないかと期待している」

鹿角市での自衛隊の活動は11月いっぱい続く見通しです。

このほか隊員はそば畑などクマの出没の可能性がある場所を確認しながら、市内の見回りも実施するということです。

11月05日(水)19:00