クマによる被害が農産物に暗い影を落としています。秋田県が発表している2019年度からの5年間のクマによる農産物の被害額は、2023年度に大幅に増加しました。
実は2023年度は、山ではクマの食料となる木の実が大凶作でした。県によりますと、例えばブナの実は、八森、森吉山、田沢湖、東成瀬、鳥海の5つの観測地点すべてで凶作でした。
県は、山での食料不足がクマが人里に来る一つの理由と考えていて、実際に2023年度はクマの目撃件数が3723件、人身被害が過去最悪の70人に上りました。
2025年10月は、2023年度を上回るペースで人身被害が発生していて、2025年度のブナの実の豊凶予報では、凶作とされています。
2025年度の目撃件数は10月29日までに8700件以上に上っていて、まさに“異常”といえる状態です。
人里で食料を探し求めるクマ。仙北市では秋の味覚「栗」の収穫量が半減している農家もあります。
仙北市西木町小山田にある農園は、約2ヘクタールの土地で栗を栽培していて、地区特産の西明寺栗などを毎年約30トン出荷しています。
しかし2025年は、収穫量が半分となりました。
西明寺栗生産販売事業協同組合・八柳茂代表:
「予定では豊作だったが、ことしは例年よりも少ない。半作ぐらい。クマの被害から結構減っていて、2023年から減少して半分ぐらいになっている」
木の上部に茶色く枯れた葉と枝の塊が。これはいわゆる「クマ棚」です。クマはここで枝を折り、積み重ね、栗を食べます。
また、辺りには食い荒らされた栗があり、クマが食べたとみられています。
農園では9月中旬からクマによる被害が発生していて、栗栽培を始めて約20年で「最悪の被害」と話します。
収穫量が大幅に減り、旬の西明寺栗の販売価格は2024年より100~500円の値上げ。例年は11月まで販売が続きますが、2025年は10月で終了します。
生産販売組合の八柳代表は「クマが多いと、栗を食べられるのも大変だが、栗拾いに行く人間はクマにやられては怖いから、命のほうが大事と思いながら収穫作業に行っている」と話しています。
10月30日(木)18:30