「地域団体商標」をご存じでしょうか。地域名に商品やサービスの名前を組み合わせた商標を保護する制度のことで、特許庁が登録をします。
例えば、秋田県内ですと『横手やきそば』『大館曲げわっぱ』、県外ですと『松阪牛』などが登録されています。
いずれも県の内外に広く知られているブランドにもなっていますが、登録されることで名称そのものをブランドとして守り、似た名前の商品との差別化などにつなげることができます。
秋田県鹿角市を中心に生産されているブランド豚『八幡平ポーク』が、豚肉の分野でこの「地域団体商標」に登録されました。登録に至るまでには、商品の品質の維持に加え、地域一体となったブランドを守るための取り組みがありました。
鹿角市八幡平。この地域で長年生産されてきている『八幡平ポーク』は、その肉質の良さとさっぱりとした脂の甘みが特徴で、全国から高い評価を受けています。
生産者たちが、おいしい豚肉を作る基本として大切にしてきたのは「豚が健康に育つこと」です。日々の健康状態や飼育環境に気を配りながら、八幡平の名前を背負うブランドとして育ててきました。
八幡平養豚組合・阿部正樹組合長理事:
「八幡平ポークグループの中に家畜診療所を持っていて、そこに獣医が2人いる。彼らが衛生管理と健康管理を行っている。出荷する豚がばらついていては均一な品質にならないので、体重を揃えて出荷することを徹底している」
こうした努力とともに知名度を上げてきた八幡平ポーク。それと同時に、大切なブランドをどのように守るかも重要になってきます。類似商品などが出てくれば、八幡平ポーク自体のブランドを下げる事態にもなりかねないからです。
八幡平ポークではこれまで、生産法人の一つが、ロゴマークで企業のトレードマークなどを保護する「図形商標」を取得していましたが、八幡平ポークの名前自体の使用は制限されておらず、八幡平ポークという名称そのものを守るには十分ではありませんでした。
そこで目指したのが「地域団体商標」への登録です。その第一歩として、2024年に生産者たちは「八幡平ポーク協同組合」を設立し、地域団体商標を管理する特許庁に登録を出願しました。
しかし、結果は“拒絶”。八幡平ポークが地域ブランドとして普及していることを示す資料が不足していたことが原因でした。
そこで組合では、過去の販売数やメディアへの掲載実績、パッケージラベルなどを集め、データを揃えていきました。
そして出願の開始から約2年、2026年6月にようやく『八幡平ポーク』が「地域団体商標」に登録されることになりました。豚肉の分野で現在登録されているのは、全国で八幡平ポークだけです。
八幡平養豚組合・阿部正樹組合長理事:
「商標を取れたことによって、生産するわれわれの意識が高くなり、いい豚肉を作ろうという意識が高くなったと思う」
登録によって、類似した名前の商品との差別化やブランドへの“ただ乗り”を防ぐことにつながります。そして同時に、品質を守り続ける責任もこれまで以上に大きくなります。
組合では、長年築いてきた八幡平ポークのブランドの信頼性をさらに高め、雇用などで地域経済の活性化にもつなげたいとしています。
八幡平養豚組合・阿部正樹組合長理事:
「地域や地元の人にまずは喜んでもらえる豚肉を生産したいとずっと思っている。そのまま広がり、全国の広い範囲で食べてもらえるような豚肉になればと思って生産している」
商標の登録をきっかけに『八幡平ポーク』が地域おこしの起爆剤になるか、今後も注目です。
09月04日(金)19:30