クマの出没で増えているのは人身被害だけではありません。秋田県鹿角市では農産物を食べられる被害が爆発的に増加しています。
いまはリンゴが収穫の時期を迎えていますが、生産者はクマや鳥の被害に頭を悩ませています。それでも生産者の努力で高い品質に仕上がりました。
鹿角市花輪の山本喜代宏さんの果樹園では、2ヘクタールの敷地でリンゴとモモを栽培しています。10月からリンゴの収穫が始まりました。
いまはわせ種の「昴林」や「トキ」を収穫していて、山本さんは7日も朝早くから手際よく作業を進めていました。
山本農園・山本喜代宏さん:
「7月の干ばつで少し実が小ぶりだが、着果数量が多く豊作」
小ぶりですが甘さは十分。実の付きが良く、山本さんは収穫量に期待を寄せます。
ここに至るまでは苦悩の連続でした。
山本農園・山本喜代宏さん:
「鳥による被害がすごいので、バードガードを買って鳴らしている。効いているかは分からないが、カラスは来なくなった」
鳥が入らないようにネットを張ったり、鳥を追い払う装置を設置したりと対応に追われました。
さらに市内では、クマに農産物を食べられる被害も多く確認されています。山本さんの果樹園でも7月、色づく前の青いリンゴをクマに食べられ、すぐに園を囲うように電気柵を設置しました。
こうした生産者の様々な努力によってリンゴは無事に収穫を迎えています。
山本農園・山本喜代宏さん:
「いつも通りおいしいリンゴです。ぜひ皆さん味わってください」
リンゴの収穫は11月下旬まで続きます。
山本さんの果樹園では様々な対策で大きな被害を免れましたが、鹿角市では2025年、過去最悪のペースでクマによる農産物の食害が報告されています。
2024年は1年間で約5万円だったリンゴやモモの被害額が、2025年は9月時点で約500万円。爆発的に増加しています。
リンゴは10月後半に収穫の最盛期を迎えますが、被害の拡大が懸念されています。
市によりますと、被害拡大を防ぐために生産者は電気柵の設置を進めていますが、費用がかかるため完全な形での運用ができていないケースがあります。
また、市が課題の一つとしてあげるのが、農家の高齢化です。
毎日の見回りができずに被害の確認が遅れたり、電気柵の管理などが十分にできない場合があります。
進む高齢化と農家の後継者不足がクマの被害が増える要因の一つであることは否定できません。
10月2日には市内で70~80代の男女3人が、いずれも農作業中に立て続けにクマに襲われる被害も起きていて、いかに被害を防ぐか、クマとどう共生するか、一人一人が自分事として考える必要があります。
10月07日(火)17:30