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新スタジアム整備の鍵となる民間資金調達 「企業版ふるさと納税」の活用の課題を探る 秋田

サッカーJ2ブラウブリッツ秋田の本拠地となる新スタジアムの整備を巡っては、クラブが民間資金の調達手段の一つとして「企業版ふるさと納税」募集への協力を秋田県と秋田市に求めています。

企業版ふるさと納税は、民間の力を活用し、地方への資金の流れを生み出そうと2016年に始まりました。

自治体の地方創生プロジェクトに企業が寄付した場合、法人住民税・法人税・法人事業税のいわゆる法人関係税が最大で9割控除される仕組みです。例えば1000万円寄付すると、最大で約900万円の法人関係税が控除されます。

40億~50億円と見込まれる民間資金調達のため、クラブ側は企業版ふるさと納税が必ず必要としています。

鈴木知事は14日、「県と市が足並みを揃えて実施する」と明言しましたが、避けては通れない課題もあります。

企業版ふるさと納税で企業が寄付できるのは、本社がない自治体です。

県が募集の受け皿となった場合、県外の企業からだけ寄付を受けることになります。

一方、秋田市が受け皿となった場合は、県外企業はもちろん、秋田市以外の県内24市町村にある企業から寄付が受けられるため、他の市町村の税収が減る可能性があります。

減った税収の75%は国からの交付金で補填(ほてん)されますが、25%は減収となります。

こうした点について、秋田市の沼谷純市長は「クラブハウス建設の際は、潟上市で企業版ふるさと納税を集めたので、ある意味お互いさまの部分もあるが、税収への影響に懸念がある。秋田市の場合は他市町村からの税の水平移動になるので、県全体としては税収が増えないし、スタジアム整備の資金が増えるわけでなく水平移動するだけなので、私としては、企業版ふるさと納税に関して本来的には県が中心となって県外から集めてもらう、ブラウブリッツも県外にも営業をかけてもらうことが最も望ましい」と述べました。

また6月市議会では、議員が「他の都道府県・市町村に入るはずだった税収が移転してくるため、実質公費負担になる」と指摘するなど、企業版ふるさと納税の民間資金としての活用に疑問の声が上がりました。

企業版ふるさと納税は、企業にとって税制上のメリットがあるため、県内外の幅広い企業から資金が集まる可能性がある一方、税収への影響や民間資金とすることの是非が、今後も議論を呼びそうです。

ブラウブリッツと同じJ2リーグで戦うクラブの本拠地の整備でも、企業版ふるさと納税を使った、または活用を想定しているケースがみられます。

《FC今治のケース》
愛媛・今治市にあるFC今治の本拠地「アシックス里山スタジアム」は、2023年に開業しました。

「成長するスタジアム」と銘打ち、当初は収容人数5000人規模でしたが、いま座席を増やす工事が進んでいます。

2026-27シーズンの開幕に合わせ、8900人程度収容できるようになる見込みです。

事業費は約40億円で、半分は銀行からの融資、13億円余りはスポンサー企業などからの出資、残りの10億円ほどは企業版ふるさと納税で賄いました。

企業版ふるさと納税の募集は現在も行われていて、集まった寄付は順次スタジアムのアップデートや周辺環境の整備に役立てられます。

《モンテディオ山形のケース》
お隣、山形県のモンテディオ山形のスタジアムは、天童市で整備が進んでいます。

収容人数は1万5000人規模で、総事業費は158億円の見込みです。

整備事業を巡っては、2025年10月に大口のスポンサーが離脱し、約50億円の調達が白紙になるトラブルがありました。

しかし2026年2月、東京の不動産会社「エスコン」が最大50億円の出資に名乗りを上げました。

国から15億円の補助金が交付されるほか、県と天童市が7億5000万円ずつ支援します。

加えて、県・市それぞれが企業版ふるさと納税を募集しています。

《いわきFCのケース》
福島・いわき市のいわきFCは、大型ショッピングモールや水族館などが立ち並ぶ福島県内屈指の観光地・いわき市小名浜に新スタジアムを整備する予定です。

ブラウブリッツと同じ2031年の開業を目指していて、収容人数は1万人規模を想定しています。

資材価格高騰などを踏まえ、現時点で総事業費は決まっていませんが、いわき市が2025年7月から企業版ふるさと納税を募集していて、2026年6月、寄付で集まった2億円余りを建設費として補助すると発表しました。

紹介した3つのスタジアムは、いずれもクラブの運営会社や関連企業が整備・運営を担う「民設民営」。自治体はあくまでも企業版ふるさと納税で整備事業を“後押し”する形です。

一方、秋田の場合は、県と秋田市が主体となって整備する「公設」で、企業版ふるさと納税を民間資金に位置付けるという、他の事例とは異なる手法が取られる見込みです。

こうしたことについて、沼谷市長は「ふるさと納税を活用することはいいと思うし、われわれも企業版に関して協力するが、それを“本丸”として資金調達を考えるのは違う。スポンサーからの出資や銀行から融資を受けるなど、民間としてのしっかりとした“本丸”の資金調達があって、そこに企業版ふるさと納税で得たものを足しこんでいく。“本丸”部分をつくることをやってほしい」と指摘しました。

スタジアム整備の基本方針案では、民間資金調達の関門が設けられており、決められた額が集まらなければ事業は先に進まず、整備が完了しない可能性はゼロとは言えません。この点も踏まえて、慎重に仕組みづくりをする必要がありそうです。

また、「個人版」ふるさと納税の活用については県と市で考え方が分かれていて、今後の検討課題となっています。

クラブ側は「ふるさと納税頼り」ではなく、大口スポンサーとの契約を勝ち取るなど、より一層の調達努力が求められます。

07月15日(水)18:00

 
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