秋田県内でクマの出没と人身被害が異常なペースで増加していることを受け28日、鈴木知事は小泉防衛大臣に自衛隊派遣の検討を要望しました。箱わなの設置など捕獲の支援を求めています。
鈴木知事は28日午前に防衛省を訪れ、小泉大臣にクマの捕獲活動支援のため自衛隊の派遣を求める要望書を手渡しました。
鈴木知事:
「すべての県民の皆さんが日常生活に大きな支障をきたしているという、まさに異常事態。私も元自衛官なので何でもかんでも自衛隊に頼めるというものではないことはよく理解をしているが、それでもなお、防衛省・自衛隊の力を借りなければ国民の命が守れないという状況」
秋田県内では27日までにクマに襲われて2人が亡くなり、52人がけがをしています。
また、2025年度は8000件以上のクマの目撃情報が寄せられていて、人身被害が過去最悪となった2023年度をはるかに上回るペースです。クマの出没が目立つのは市街地です。
鈴木知事は、クマの捕獲作業にあたる人数が限られていて厳しい対応を迫られているとして、自衛隊に箱わなの運搬や設置、駆除したクマの解体処理など有害捕獲の後方支援を求めました。
これに対し、小泉大臣は「深刻な状況と受け止めている」とした上で、「この危機的な事態に対し、国民の命と暮らしを守り抜くことを任務とする防衛省・自衛隊としても与えられた能力・権限を最大限に生かし、秋田県と協力して早急に対応策を練り、安全と安心を取り戻すべく対処していきたい」と述べました。
面会終了後、鈴木知事は報道機関の取材に対し「時期に関しては緊急的なことだということで、かなり早めに出してもらえるというような話があった。私は災害派遣かと思ったが、それに限らず幅広に検討してもらえているようだ」と手応えを感じていました。
要望を受けて28日夕方、陸上自衛隊東北方面総監部防衛調査官の安田孝浩1等陸佐など4人が秋田県庁を訪れ、県の担当職員と打ち合わせに臨みました。
第9師団・三浦英彦副師団長:
「秋田県におけるクマによる被害が深刻かつ緊急的な状況であることに危機感を持ち、自衛隊の持ちうる能力と権限のもと、効果的な協力を行っていきたい」
打ち合わせは冒頭だけ公開され、県の要望について確認しました。
鈴木知事が防衛省に要望しているのは、自衛隊を派遣し、クマの捕獲に関するサポートを担ってほしいということです。
具体的には、自衛隊による「箱わなの運搬や設置」「捕獲したクマの解体の補助」「現場周辺の安全確保」などを挙げています。
具体的な支援の規模や開始時期は今後協議する予定ですが、速やかな対応が望まれます。
また、クマによる被害が深刻化していることを受けて、政府も対策を強化する方針を示しました。
木原官房長官:
「環境省はじめ関係省庁に対して、早急にクマ被害対策施策パッケージを見直し、緊急銃猟制度の確実な運用や専門的な人材の育成確保、さらには個体数の適切な管理の強化など、追加的対策を実施するよう指示した」
木原官房長官は、30日に関係省庁が集まってクマ被害対策に関する連絡会議を開催する方針を示しました。会議には、新たに防衛省も出席するということです。
また、石原環境大臣は「緊急性を感じている」とした上で、狩猟免許や知識を持つ自治体職員ガバメントハンターなどによる捕獲者の確保や、科学的データに基づく個体数の管理などに中長期的に取り組む考えを示しました。
2024年に取りまとめたクマ被害の対策パッケージは、年内に改訂する方針です。
10月28日(火)19:00