秋田県能代市のジェラート店に12月、秋田が誇るあの食材を使ったジェラートが誕生しました。開発に携わった能代市の地域おこし協力隊の女性を取材しました。

パンプキン味にイチゴ味と、ショーケースにカラフルなジェラートが並ぶ中、ひときわ白いジェラートがありました。

「お待たせしました。お米特有の甘さと粘りが特長のジェラートです」

店員が手渡してくれた白いジェラートの正体は秋田の「お米」。12月に新発売されたあきたこまちを使用したフレーバーです。

その味は、甘さは程よく甘すぎず、コメの粒が丸ごと入っています。主食のコメがスイーツになっていて新感覚です。

この「お米ジェラート」を開発したのは、能代市地域おこし協力隊の大塚さと子さん。能代市で育った大塚さんは、大学進学を機に上京し、卒業後は映画会社でキャリアを重ねました。

しかし、3年前に父親が突然の病で他界。コロナ禍でリモートワークが可能だったことから、一度能代市に戻ることを決めます。

戻ってみるとそこには、離れていたからこそ見えた地元能代の課題がありました。

能代市地域おこし協力隊・大塚さと子さん：
「あまりにも故郷・能代市の人の減り方が、自分が高校までいた時代とは違っていて、悲しくなるくらい活気がなくなっていたことを覚えている。もう一度、今あるものを使って能代をどうアピールできるかということを心に思った」

大塚さんは能代市の地域おこし協力隊に応募し、2023年11月に隊員に就任します。

協力隊で大塚さんが取り組んだのは、秋田の誇れるコメを新しい形で発信することでした。

大塚さと子さん：
「主食であるコメを、より食材として色々な食べ方をしてもらいたい、提供してもらたいと考えた時に、実は自分が甘いものが苦手で、甘い中でもすっきりしたものであれば甘いものが苦手な人でも食べてもらえるのではないかと思い、ジェラート開発を始めた」

大塚さんは小さな田んぼで自らコメを育て、一からコメ作りを学びました。

同時にお米アイスの開発にも取り組みます。しかし、アイスの製造・販売には本格的な設備が必要で、手作りでの提供にとどまっていました。

そんな中、市の職員の紹介で出会ったのが、能代市の商業施設に2025年9月にオープンしたジェラート専門店「ICY MOVING CLUB」でした。

ICY MOVING CLUB・笠井友美店長：
「米どころ秋田ということで、コメを使ったジェラートを作りたかった。地域おこし協力隊と協力して完成に至った」

「あきたこまちの風味を存分に味わえるジェラートにしたい」

大塚さんと店は、コメの粒感や粘りをより引き立たせるため、炊き方を工夫するなど試行錯誤を繰り返し、約2カ月かけて納得いく「あきたこまちジェラート」を完成させました。

若い世代の人たちに、秋田にはおいしいコメが育つ素晴らしい環境があることを知ってほしい。大塚さんはそんな想いを胸に活動を続けています。

大塚さんが地域おこし協力隊に着任した時に感じていた能代市の課題は、経験を通じて可能性に変わってきました。

大塚さと子さん：
「能代という場所で何ができるのかは、協力隊に就任してから探していた。農家が頑張っていて取れ高が最近伸びてきているので、農作物を育てる、農業を行うという点で、強みになる土地だと思う」

地域の誇れる特産を新しい形で届けたい。大塚さんの挑戦はこれからも続きます。

12月05日(金)19:00