11月、秋田県能代市のジェラート店に、秋田が誇るあの食材を使ったジェラートが誕生しました。

開発に携わった能代市の地域おこし協力隊の女性を取材しました。


パンプキン味にイチゴ味と、ショーケースにカラフルなジェラートが並ぶ中、ひときわ白いジェラートがあります。

白いジェラートの正体は秋田の「お米」

11月発売されたあきたこまちを使用したフレーバーです。その味は？

立川愛梨アナウンサー：
「コメが入っている。甘さは程よく甘すぎないが、コメの粒が丸ごと入っている。主食のコメがスイーツとなり新感覚」

このお米ジェラートを開発したのは、能代市地域おこし協力隊の大塚さと子さんです。


能代市で育った大塚さんは、大学進学を機に上京し、卒業後は映画会社でキャリアを重ねました。


しかし3年前に父親が突然の病で他界。

コロナ禍でリモートワークが可能だったことから、一度能代市に戻ることを決めます。

そこには離れていたからこそ見えた、地元能代の課題がありました。

能代市地域おこし協力隊・大塚さと子さん：
「あまりにも故郷・能代市では、高校までいた時代とは悲しくなるくらい人が減った。活気がなくなっていたのを覚えている。もう一度、今あるものを使って能代をどうアピールするかと心に思った」

大塚さんは能代市の地域おこし協力隊に応募し、2023年11月に隊員に就任します。

協力隊で大塚さんが取り組んだのは、秋田の誇れるコメを新しい形で発信することでした。

大塚さん：
「主食であるコメをより食材としていろいろな食べ方をしてもらいたい、提供してもらたいという時に、実は自分が甘いものが苦手。甘い中でもすっきりしたものであれば、甘いものが苦手という方でも食べてもらえるのではないかと思い、ジェラート開発を始めた」

大塚さんは小さな田んぼで自らコメを育て、一からコメづくりを学びました。

同時にお米アイスの開発にも取り組みます。

しかし、アイスの製造・販売には本格的な設備が必要で「手作り提供」にとどまっていました。

そんな中、市の職員の紹介で出会ったのが能代市の商業施設に、2025年9月にオープンしたジェラート専門店「ICY　MOVING　CLUB」でした。

ICY　MOVING　CLUB・笠井友美店長：
「コメどころ秋田ということで、米を使ったジェラートを作りたかった。地域おこし協力隊の方と協力して、完成に至った」

「あきたこまちの風味を存分に味わえるジェラートにしたい」

大塚さんと店は、コメの粒感や粘りをより引き立たせるため、炊き方を工夫するなど試行錯誤を繰り返し、約2カ月かけて納得いく「あきたこまちジェラート」を完成させました。

若い世代の人たちに、秋田にはおいしいコメが育つすばらしい環境があることを知ってほしい。

大塚さんはそんな想いを胸に活動を続けています。

大塚さんが地域おこし協力隊に着任した時感じていた能代市の課題は、経験を通じて可能性に変わっていました。

大塚さん：
「能代という場所で何ができるのかは、協力隊に就任してから探していた。農家が頑張っていて取れ高が最近伸びてきているので、農作物を育てる、農業を行うという点で、強みになる土地だと思う。

地域の誇れる特産を新しい形で届けたい。

大塚さんの挑戦はこれからも続きます。

12月05日(金)19:00