秋田県内では市街地を中心に連日クマの目撃情報が寄せられています。県の情報マップシステム・クマダスには、クマが出没した場所や状況が投稿されるため、今いる場所やこれから行く場所など行動範囲の危険を知ることができます。
一方で、危険を予測するシステムも実用が始まっています。その一つが、上智大学の研究チームが開発した「クマ遭遇AI予測マップ」です。ライブニュースあきたでは、2025年11月に開発途中のものを紹介しましたが、その後完成し、一般公開されています。
2026年は春先からクマの出没が増加していますが、AIは予測していたのでしょうか。そして、被害防止に役立てられるのでしょうか。
「クマ遭遇AI予測マップ」は、上智大学の深澤佑介准教授のチームが開発しました。秋田でのクマの異常出没を受け、「事前に遭遇リスクを知らせることで被害を減らしたい」と研究を始めました。
予測マップは、黒いバツ印で過去5カ月間に実際にクマが目撃された場所を、丸印で遭遇しやすいと予測されたエリアを示し、丸印の色の濃さで遭遇リスクを5段階に区別しています。
例えば、JR秋田駅を中心とした秋田市の市街地を見てみますと、手形地区は紫に近い赤い丸印が示されています。つまり、遭遇の可能性が「非常に高い」エリアとされています。保戸野地区はオレンジ色の丸印で「やや高い」と予測されています。それぞれ4月以降に実際にクマの目撃情報が寄せられています。
システムでは、地図を1キロ四方のメッシュに区切り、メッシュ単位で様々な情報を入れてAIに学習させています。
例えば、クマダスなどから取得したクマの目撃情報。国勢調査を基にした人口分布。さらに、衛星写真を使ってクマの餌であるブナの実などがなる落葉樹の分布を分析しました。
ブナの実が多い場所は濃い緑で示されていますが、そのメッシュには赤い点、つまり実際のクマの目撃情報が集中していることが分かります。そこに人が住んでいれば、AIは「遭遇の可能性が高い」と判断します。
このほか、河川周辺の環境、標高や気候、さらにフィールドワークで得た土地の特徴など、様々な要因を学習させています。試行錯誤や改良を重ね、2025年10月以降に新たに取り入れたのが「川の予測」です。
上智大学・深澤佑介准教授:
「様々な県の人と話し、重要なポイントとして『クマは川を伝って移動する』という情報をもらった。上流で出没が発生しているという情報を、下流でもうまく使う必要がある」
深澤准教授は、クマは基本的に人目を避けようとするため、やぶのある河川敷を移動手段として利用しやすいと考えました。
予測マップを見ると、AIが遭遇の可能性があると判断した川は、赤い線で表示されます。
川の予測を取り入れたことで、予測の的中率は70%まで上昇しました。
また、川以外にも、分析の結果からクマが出そうな場所が分かりました。
深澤准教授:
「米どころならではだと思うが『水路』。冬は川が流れていないので、水路を使って人に見つからずに移動する。川以外のいろんな移動経路があるとフィールドワークを通じて分かった」
AIの分析によって秋田の課題も浮き彫りになりました。
深澤准教授:
「2025年はかなり人里に近づいた。AIの内容の解析を見ると、高齢化が進む75歳以上の人が住んでいる地域。高齢者が住んでいるからではなく、それによって耕作放棄地や、空き家の問題でクマと遭遇してしまう。あとは川沿い。川沿いを伝って街中に下りてくることが考えられる」
クマとの遭遇を予測するこのシステムは、2025年11月に一般公開しましたが、すでに4万件を超えるアクセスがあります。
深澤准教授は「県の情報を第一に見てほしい。その上で、新しく行く場所ですでに出ている出没情報だけでなく、これから出そうだという情報も見て警戒してもらえたら。AI予測マップを補助情報として使ってもらいたい」と呼びかけています。
05月28日(木)19:00