9月は防災月間です。8月の雨で秋田県仙北市や県の北部を中心に住宅や農地などに大きな被害が出ています。2日も断続的な雨で河川が氾濫し、秋田市、仙北市、五城目町に緊急安全確保が発令されました。災害でライフラインがストップした場合に備え、カセットコンロを持っている人は多いと思います。まずは選び方を考えます。
カセットガスを使った調理器具は、屋外では風の強さや気温に火力などが影響を受けます。火力が弱いと、ガスが多く消費されるだけでなく、調理が進まない可能性があります。
外でも安心して使えるのは、風よけがついたタイプのコンロです。これは、屋外での利用を想定して設計されています。
一方、室内でしか使わないという場合は、風よけのないタイプを選んで良いでしょう。購入前にどのような場面で使うか考え、自分に合うかどうか確認しましょう。
燃料であるプロパンガスには種類があります。メーカーによって性能が異なりますが、スーパーマーケットなどで販売されている一般的なカセットガスが使えるのは、外気温が10度以上の時です。暑い時期は問題ないですが、外気温が10度を下回ると気化しにくくなります。
一方、低温時用のものは外気温5度以上が目安。5度を下回ると気化しにくくなりますが、冬場でも使用できる可能性が高いです。
カセットコンロやガスの選び方と同時に使い方を覚えておきましょう。また、携帯発電機も便利な防災グッズの一つですが、正しい使い方をしなければ事故につながります。
2020年からの5年間に起きたガス缶による事故の発生件数を見ると、2022年と2023年は50件を超える事故が発生しています。2021年と2022年はそれぞれ1人、2023年には3人が命を落としています。
2020年からの5年間に起きた携帯発電機による事故の発生件数を見ると、ガス缶に比べて事故の件数が少ないように見えますが、2020年は1人、2021年は3人、2023年は2人が亡くなっていて、死亡事故の占める割合が高いことが分かります。
事故を防ぐためにはどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。
経年劣化によってガス漏れが起きているガス缶をカセットコンロに取り付けた実験では、火を付けてから約30秒でガス缶に引火しました。
ガス缶、カセットコンロともに期限を確認して使用しましょう。また、ガス缶は正しく取り付け、ガス漏れがないか確認しましょう。
カセットコンロを2台並べて使用した実験では、火を付けてから約11分後、左側のカセットコンロは高温によるガス缶内部の圧力異常を検知。安全装置が働き、火が消えました。しかし、鉄板からの熱が左側のカセットコンロのガス缶に伝わり続け、着火から17分6秒後に破裂しました。
ガス缶を高温の場所に放置すると、ガスが膨張して破裂する恐れがあります。ガス缶は正しく使用するとともに、使用後は機器から取り外し、40度未満の場所で保管しましょう。
携帯発電機も、使い方を誤ると命を脅かす可能性があります。携帯発電機からの排ガスには、一酸化炭素など人体に害がある物質が含まれています。
屋内で携帯発電機を使用した実験では、使用開始から約8分後、空気中の一酸化炭素濃度は0.2パーセントに到達しました。濃度が0.16パーセントに達すると2時間ほどで死に至るため、危険な状態であることが分かります。
携帯発電機は、必ず屋外の風通しの良い場所で使用し、排ガスが屋内に入らないよう注意しましょう。また、漏電や感電を防ぐため、雨などでぬれないようにしましょう。
製品による事故の中には、リコールが始まった後に発生したものもあります。リコール情報は、製品事故に特化したウェブ検索ツール「NITE SAFE-Lite」や消費者庁のリコール情報サイトなどで確認できます。家庭にある製品がリコール対象ではないか、今一度確かめてみてください。
正しい備えをするとともに、製品を正しく使用することが命を守ります。
09月02日(火)14:00