<基本理念>
今日、社会全体における人権意識の高まりを踏まえて、あらゆる企業に対して、事業活動全般における人権の尊重が求められるようになった。国連においては、2011年に「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択されている。
民放連は、1951年に制定した「放送基準」の前文で基本的人権の尊重を謳い、民間放送各社は、この基準を踏まえて、番組内容の根底に人権尊重の理念を据えて公共的使命を果たしてきた。
この基本姿勢は、番組内容に関して培ってきた人権尊重の理念を、民放連会員社のすべての事業活動に反映し、その両立を図っていくためのものである。民間放送が社会から信頼されるメディアで在り続けるために、人権尊重の重要性を改めて認識し、以下の指針に沿って事業活動を展開していくことを誓う。民間放送にかかわるすべての取引先にもこの基本姿勢への賛同を求める。
<基本指針>
1.人権の尊重
民間放送は、すべての人が生まれながらにして自由であり、尊厳と権利について平等であることを理解し、すべての人の自由と基本的人権を尊重する。多様性を認め、個人の尊厳と自由が守られる社会の実現に貢献する。
人種・民族、性(性別・性的指向・性自認など)、職業、境遇(家庭環境、出身地や居住地など)、信条のほか、障害や身体的特徴、疾病などを理由としたあらゆる差別を認めない。
個人としての尊厳や人格を不当に傷つけるあらゆるハラスメント、長時間労働や健康を害する働き方を強いることを認めない。
自らの事業活動が子どもの成長に与える影響に配慮し、子どもの権利の尊重・推進に貢献する。
2.人権侵害の防止と是正・救済
民間放送は、自らの事業活動において人権侵害を引き起こさない、または助長しないことに最大限の価値を置く。民放連および民放連会員社は、すべての人の人権に配慮した事業活動を実践するよう、役職員への研修や啓発活動を実施する。幅広いステークホルダーとの建設的な対話を通して、すべての取引先において、民間放送の事業活動が人権侵害を助長しないように努める。また、SNSやAIなどITの進歩・普及に伴い人権侵害や差別等が発生し得ることに留意する。
民放連会員社は、自らの事業活動における人権リスク(人権への負の影響)を特定・評価し、その防止・軽減に向けた適切な措置を講じる。さらに、自らの事業活動における人権侵害にかかわる苦情を受け付け、是正・救済に資する仕組み(苦情処理メカニズム)を整え、自社に関わるすべての人が安心して声をあげられる環境づくりを目指す。
3.メディアとしての社会的責任
民間放送は、人々の生活に寄り添いながら、社会とともに歩みを進めてきた存在である。自らの番組や報道による人権侵害を防ぐだけでなく、人権問題に関する取材・報道を通じて人々の人権意識の向上に寄与することも重要な使命である。このことを自覚し、表現の自由を守りつつ、人々の知る権利に応える報道やさまざまな事業活動を通じて、すべての人々の人権が尊重される社会の実現を目指す。
4.不断の見直し
人権は普遍的なものである一方、人権への意識は社会の進歩に応じて維持向上させていかなければならない。民間放送は時代の変化を鋭敏に捉えて、取り組みをアップデートしていく。
この基本姿勢は随時、見直しを行うこととする。