秋田市の中学校でいじめを受けた女子生徒が不登校になり、その後「いじめ重大事態」に認定されていたことが分かりました。認定は、保護者の訴えから10カ月以上を要し、女子生徒は現在も精神的な不調に悩まされています。
「娘は行きたかった学校で授業も受けられず、逃げるようにフリースクールに行かざるを得なくなって、加害生徒は青春を謳歌(おうか)していて、ずっとそのことが家族を苦しめている」
悲痛な胸の内を語るのは、秋田市の中学校でいじめの被害に遭った女子生徒の母親です。
秋田市教育委員会などによりますと、女子生徒は中学2年生だった2023年4月ごろから同じクラスの複数の男子生徒から表情をやゆされるなどのいじめを受けるようになりました。
いじめに対する恐怖心から、次第に女子生徒は不登校に。2023年5月には、母親がいじめの内容などをまとめた書面を学校のスクールカウンセラーに提出しました。
しかし、1カ月たった6月になってもいじめは収まらず、女子生徒は母親にいじめが続いていることを打ち明けたといいます。
ほどなくして女子生徒は精神疾患を患ったほか、いじめの記憶がよみがえるフラッシュバックに悩まされるようになり、現在も症状が続いています。
母親は、学校の対応が不十分だったのではないかと指摘します。
女子生徒の母親:
「教頭先生から連絡が来て『職員全員で書面を見落としていた』と電話で話された。書面があの瞬間に渡っていれば、今の娘の状態はここまでひどくなかったかもしれないし、ひどかったかもしれないし、分からないけれども、状況が変わっていたんじゃないかと思ってしまう」
また母親は、女子生徒が受けているいじめが、いじめ防止対策推進法が定める「重大事態」に該当するのではないかと市の教育委員会に訴えました。
「いじめ重大事態」は、いじめにより生命や心身、財産に重大な被害が生じている疑いがある場合と、30日を目安とする長期間不登校が続いている場合の2つの要件を満たすと認定されます。
ところが、市の教育委員会からは、あくまで「重大事態並み」との回答が。
そして、最初に母親が学校へいじめの被害を訴えてから10カ月以上がたった2024年年3月、ようやく市教育委員会は「重大事態」と認定しました。
市教育委員会は、女子生徒は市内の学習施設に通っていることから学校の出席にカウントされるとして、累計の欠席日数が規定に達した時点で認定したとしています。
女子生徒の母親:
「遅いと思っていた。重大事態に早い段階で認定してもらっていれば早期解決できたのかなという思いがあったが、それをしなかったのは何の利益を優先させたのか」
女子生徒は高校に進学しましたが、フラッシュバックの症状で通院や入院を余儀なくされ、現在も通学が難しい状態が続いています。
女子生徒の母親:
「いじめは本人はもちろん苦しいけれども、家族も地獄。そういう現実なんだということを分かってほしい」
市教育委員会は「学校はその時々にできる限りの対応をした。同じような被害に遭う児童生徒が出ないよう、いじめを生まない環境づくりに努めたい」としています。
12月15日(月)19:00