祖父が営んでいた秋田市の電気店を改装し、カフェをオープンさせた女性がいます。独自の「推し活メニュー」を提供し、祖父との思い出が詰まった地域を盛り上げようと奮闘する女性を紹介します。

秋田市牛島の商店街にある「カフェ・ま～ぶる」です。シンプルな内装で居心地の良い店内では、ドリンクや軽食、自家製のランチなどを提供しています。

オーナーの佐々木千佳さん（28）は、秋田市内の高校を卒業後上京し、約9年間、主に飲食に携わる仕事を経験しました。そして秋田に戻り、母方の祖父・渡部威さんが経営していた電気店を改装し、5月にカフェをオープンしました。

きっかけは、5年前に祖父から言われた言葉でした。

カフェ・ま～ぶる オーナー・佐々木千佳さん：
「祖父が店を畳むことにしたから、私が飲食をやっているのを知っていたので、カフェをやってみないかと言われたのがきっかけ」

佐々木さんは、幼い頃に母親とよく祖父の電気店を訪れていて、その場所にはたくさんの思い出が詰まっています。数年悩みましたが、祖父や家族が体調を崩したこともあり、いずれは秋田に戻ってカフェをやろうと将来を思い描いた矢先、悲しい出来事が起こります。

佐々木千佳さん：
「何か役に立てることがあるなら帰ろうと思い、店もやってみようと思った矢先に祖父が亡くなって。結局この店をやることも伝えられずに、店の全景も見ずに亡くなってしまった」

佐々木さんはその後、都内で飲食業の資格などを取って2024年3月に秋田にUターン。祖父と過ごした思い出の場所を地域の憩いの場にしたいと、カフェ開店を実現させました。

店内では、祖父がずっと大切にしてきた思い出の品が佐々木さんを見守っています。

佐々木千佳さん：
「祖父はそんなに多く語らない人だったが、ちょっとは安心してもらえたかなと思う」

祖父の思いを受け継いだ娘を、母親の由希さんも応援しています。

母・佐々木由希さん：
「家を守っていくことや父の店をどうしていくのかということはずっと思っていたが、まさかこんな形で長女がそれを継いでくれるとは、驚きもしたがうれしかった。私はお手伝いのつもりで、一歩引いて前に出過ぎないように頑張ろうと思う」

主に母親の由希さんが料理を作り、佐々木さんがドリンクを担当。親子二人三脚で店を切り盛りしています。

カフェをオープンするにあたり、佐々木さんがどうしてもメニューに入れたかったのが「ま～ぶるドリンク」と名付けた飲み物。ソーダやカルピスをベースに16種類のフレーバーが楽しめるカラフルなドリンクですが、実はこれ、好きなキャラクターや有名人を応援するいわゆる「推し活」向けのメニューなんです。

佐々木千佳さん：
「推しにもメンバーカラーがあり、自分の推しに合ったドリンクを飲みながら撮影できる」

例えば、秋田テレビのマスコット・ぽちぱの推し活をするなら、ボディカラーに合わせた青・オレンジ・黄色のドリンクをセレクトして記念撮影！推しのカラーに彩られた空間で特別な時間が過ごせそうです。

佐々木千佳さん：
「自分の好きなキャラクターとか有名人のアクリルスタンドとか、ぬいぐるみを持って撮影してもらいながら楽しくおしゃべりしているのが、見ていて幸せな瞬間」

自身もアニメが好きという佐々木さんは、気兼ねなく推し活が楽しめるカフェにしていきたいと語りながら、地域のこれからにも目を向けています。

カフェ・ま～ぶる オーナー・佐々木千佳さん：
「牛島商店街と言いながらシャッター街になってしまい、他に店も少ないので、この店をきっかけに他の店もできて、また明るい商店街に戻ってくれたらと思っている」

06月06日(金)21:00