秋田藩主・佐竹氏ゆかりの品を展示する秋田市の佐竹史料館がまもなくリニューアルオープンします。20日には一足早く新たな史料館が報道機関に公開されました。佐竹氏の歴史を学ぶ場としてはもちろん、にぎわいの拠点としても期待がかかります。
秋田市の千秋公園の中に建つ佐竹史料館は、建物の老朽化に伴い2022年7月から改築工事が行われてきました。
新たな史料館は一部鉄骨・鉄筋コンクリート造りの2階建てで、延べ床面積は約2600平方メートル。これまでの5倍ほどの広さに生まれ変わりました。
展示室に入るとまず目に飛び込んでくるのは、プロジェクションマッピングです。久保田城の築城までの歴史や城下町が現在の秋田市にどうつながっているか、その移り変わりが映像で映し出されます。
展示室には、最大約90点が展示でき、年に3回入れ替えが行われます。
菅原咲子アナウンサー:
「最大の目玉は歴代藩主の甲冑(かっちゅう)です。初代藩主・義宣公の甲冑の隣には直筆の書状も展示されていて、義宣公の息吹を間近で感じられます」
甲冑は、ケースの四方がガラス張りであらゆる角度から楽しめる形で展示されているものもあります。
菅原咲子アナウンサー:
「展示室に新たに設けられたのはタッチパネル式の解説。見たい部分をタッチすると解説が表示され、より分かりやすく当時の歴史を学ぶことができます」
また、今も秋田市内に残る秋田藩ゆかりの文化施設を紹介するコーナーや、久保田城の表門を望む展望テラスは誰でも無料で利用でき、にぎわいの拠点としても期待がかかります。
新たな佐竹史料館は、展示はもちろん、建物自体にも魅力が詰まっています。
設計を手掛けた小野建築研究所の小野泰太郎さんは「佐竹公は清和源氏の流れをくむ由緒ある大名。日本の歴史そのものを背負っているので、日本建築の基本は何なのかというところからコンセプトを持って行かないと駄目だと思った」とこだわりを語ります。
小野さんは“自然との調和”という日本建築の基本を大切にして史料館を設計しました。
また、屋根のひさしの曲線は、武士の魂である「刀」の反りをイメージしています。
さらに、木材をふんだんに使い、柔らかな雰囲気の空間に仕上げました。
小野建築研究所・小野泰太郎さん:
「窓の上の方に木の格子がある。木漏れ日が出るように、柔らかな光が来るようにした。柔らかな光と柔らかな木と柔らかな色彩を組み合わせた。これも日本建築の特徴」
生まれ変わった佐竹史料館は10月25日にリニューアルオープンします。
旧佐竹史料館は、年間の来場者がコロナ禍前のピーク時で約1万7000人でしたが、今後は4万8000人程度を目指すということです。
千秋公園内の売店が史料館の中に移設されるので、これまで以上に気軽に立ち寄れる場所になりそうです。
10月20日(月)19:30